【高血圧症の最適治療について】
2024-10-15
高血圧症は、日本高血圧学会による高血圧治療ガイドライン2019(JSH2019)では、最高血圧/最低血圧が140/90mmHg以上の場合と定められており、この基準に従えば、日本人の高血圧症患者数は約4,300万人と言われています。
この数字は、日本人の3人に1人が高血圧症であることを示し、食生活の欧米化や高齢化に伴い、今後も益々増加すると言われています。
また、世界の死因(2021年)のトップ1位は虚血性心疾患(16%)で2位は脳卒中(11%)、3位は慢性閉閉塞性肺疾患(6%)で、高血圧症リスクと考えられる虚血性心疾患や脳卒中が上位を占めています。
一方、厚労省が2023年に発表した日本人の死因1位はがん(27.3%)で、2位が心疾患(15%)、3位が老衰(8.8%)となっていて、高血圧症リスクと考えられる虚血性心疾患や脳卒中による日本人の死亡率は世界ほど高くはないことがわかります。
高血圧症が半数以上を占める日本人の死因は、虚血性心疾患や脳卒中によるものではなく、WHOが発表した2023年版の世界保健統計による日本の健康寿命と平均寿命は共に世界1位で、現在の基準による高血圧症が日本人の健康寿命や平均寿命にどれほどの影響を及ぼしているのかは、甚だ疑問に思われます。
一般的に、高齢化に伴い血圧は上がるのですが、それは長年の生活習慣や加齢によって、何らかの要因で体が高血圧を求めているからであって、それを降圧剤で下げることは他の副反応による弊害の方が大きいのではないかと思います。
私は、製薬業界で長年仕事をしてきたのですが、生活習慣病と言われる疾患?に対しては、薬は飲まずに生活習慣を改善することが最良な方法であると考えています。
先週、NHKのTV番組で「高血圧」をテーマとした企画が放映されていましたので、
どのような内容なのかとても興味がありました。
この番組でお勧めしていた治療方法は、薬に頼らない「食事」と「運動」によるもので、私の考え方と一致していて、これはスポンサー企業のいないNHKだからこそ放映できたのではないかと思いました。
ここで紹介された「食事」と「運動」による方法を試した各10名程度のボタンティアの80~90%の方々は、無理なく2週間程度で最高血圧が10~20mmHg程度も低下したという画期的なものでした。
高齢化社会で益々増える生活習慣病について、このような生活習慣を変えるという本質的な治療方法について、今後もメディアは価値の高い番組を企画制作し、啓蒙活動をして頂きたいと思いました。